現状と課題
2008年末現在における外国人登録者数は、221万7,462人となり、10年前に比べると約70万人(46.6パーセント)の増加で、「10年間で外国人登録者数は約1.5倍」(法務局)になりました。初めは短期の予定で来日した人たちの定住化も進み国際結婚も増え続けています。これに伴い、国際結婚や親の仕事など様々な理由で外国から来日する子どもたちが増えています。日本社会は着実に他の欧米社会と同様、グローバル化の中で、多文化共生社会、移民社会になりつつあります。
しかし課題も多くあります。来日した子どもたちの一番の壁となっているのが、高校進学です。「外国籍生徒」は日本人生徒と比べて高校進学率が著しく低く、推定で50%以下と言われています。子どもたちは来日1、2年で、日本人と同じ内容の入学試験を受けなければなりません。日本語を勉強しながら教科の勉強をすることはとても難しく、多くの子どもたちが高校に進学出来ない状況にあります。高校が準義務教育化され、授業料も無償になる一方で、就職や進路設計に必要な高卒資格を得ることができない子どもたちがいます。
保護者も含めて日本語がわからないために、日本の教育制度と高校進学についての情報がとても不足しています。さらに教育に対しての母国による意識の差があることも多く、結果として、日本での高校進学の重要さが知られていない状況といえます。
このように外国につながる子どもたちが教育を受ける機会が保障されていないことは子どもの権利の観点からも大きな問題であるといえます。子どもたちの夢や将来を閉ざれてしまうことのないように、教育に関する情報提供は、本来公的なサービスとして行われるべきですが、教育行政の取り組みは十分ではありません。このため、これまでわたしたちボランティアやNPOが協力し、多言語での情報提供と教育相談を行っているのが現状です。
実施内容
「日本語を母語としない親子のための高校進学ガイダンス実行委員会」は、教育の情報が手に入らない在住外国人の親子に対して、日本の高校・進路・進学・教育制度全般について理解を深めてもらうことを目的とし、2001年度より東京都内で「日本語を母語としない親子のための高校進学ガイダンス」を実施してきました。
ガイダンスでは、多言語での通訳を用意し、高校受験制度についての説明、外国につながる高校生による体験談発表を行うとともに、個別の教育相談も行っています。
ここ10年間では、約4200名の日本語を母語としない親子が参加しました。